うつ病

● うつ病について

どんな病気?

うつ病とは?

「気分が落ち込んで面白いことや楽しいことがなくなった」
「疲れているわけではないのに体がだるく、とにかく何もしたくない気分」
「常に眠りが浅く疲れが取れず、仕事や勉強に集中できない」
「食欲がわかない、何を食べたらよいのか考えられない」

  など、精神的・身体的な症状が長く続く場合、うつ病の疑いがあります。
しかし、それが治療を必要とする病気なのか、休養を取ればまた元気になる一時的なものかは自分自身で判断することは難しいとされています。

  多くの人は、まず精神的な症状よりも身体的な症状に悩み、内科などを受診します。
そして様々な検査を行い、特に異常が見あたらなければ「ひとまず様子を見ましょう」と言われることが多いと思いますが、それでも一向によくならない場合は早急にご相談ください。
うつ病に限らず、どんな病気でも「早期発見・早期治療」が基本です。おかしいかな?と思ったらためらわずに受診しましょう。
ひと昔前であれば、医師も受診される方も「うつ病」を疑うことは多くありませんでしたが、現在はマスコミやインターネットで「うつ病」に関する知識や言葉が身近になり、次第に認識が広まっています。

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特徴

うつ病の特徴

よく見られる症状として、主に以下のようなことが挙げられます。

1) 気分が沈んでいる(抑うつ気分)
  「ゆううつだ」「将来に何の望みもない」「落ち込んでいる」「悲しい」など、思い悩んでいる状態です。本人の言葉や表情、憔悴した雰囲気が見られるので、周囲の人が気づく場合があります。
  こうした症状は午前中にひどいことが多く、午後から夕方にかけては症状が軽くなることがあります。
2) 食欲の変化、体重の増減
  うつ病では食欲が低下が多くみられます。しかし「何か食べないといけない」という思いから、無理やり食べていることもあります。
また反対に、甘い物ばかり欲しがったり、過食にはしる人も見られます。
3) 眠れない、眠りが浅く夜中に何度も目覚める
  不眠もうつ病の症状として多くあげられます。寝付きが悪くなり、夜中や早朝に目が覚め、十分に休養がとれません。特に、起きるつもりではない早朝に目が覚め、そのあと眠れないことが頻繁にあります(早朝覚醒)。体が休まらないのですぐに起き上がることもできず、ベッドからなかなか出られません。
  人によっては反対に、夜の睡眠が極端に長い、あるいは日中も寝てばかりで昼夜逆転してしまう症状を起こす場合もあります。いずれにせよ、規則正しい食事と睡眠ができなくなり、動くためのエネルギーがどんどん低下してしまいます。
4) 集中力がない、物事を決められなくなる
  注意力が散漫になり、集中力が低下します。仕事や勉強、家事が思うように進まなかったり、できなくなったりします。集中できないため仕事で小さなミスが重なってしまい、落ち込んでしまいます。
  また、決断力も低下します。少しのことでも考え込んでしまうため、何も決められなくなることがあります。例えば、「夕食の買い物にスーパーへ出かけたが、何を買うか悩み、結局何も買えずに帰宅してしまって夕食の準備ができない」というようなことです。
  いずれにせよ、「何もできない」と悲観的になってしまい、責任感から会社を辞めてしまったり離婚を考えたりしてしまうため、回りの配慮も不可欠です。
5) 強い罪責感を抱く
  特に理由もなく過剰に自分を責めたり、誰も気にとめていないような些細なことを思い出してはくよくよ悩んでしまうことがあります。
  また、必要のないことまで自分の責任のように感じてしまい、「自分は要らない人間だ」と強く思うようになったりします。
6) 物事への興味や喜びを感じなくなる
  これまで楽しかったはずの物事に対し、関心や欲求が著しく低下します。
「何をしても面白く感じない」「人と話すのがおっくう」「毎朝読んでいた新聞を読む気になれない」「ドラマや映画を見ても感動しない、見る気になれない」など、周りから見ると、まるで人が変わってしまったようになります。何かをしようという気が起きず、次第に自分の世界に引きこもるようになってしまいます。
7) 動作や話し方が遅くなったり早くなったりする
  周囲からはっきり見て分かるくらいに、体の動きが遅くなったり、口数が減り、声も小さくなったりします。
  日常的な動作にさえ時間がかかってしまい、本人は何とかしようと焦るものの上手くいかず、たいへん苦しんでいることが多いのです。
  また反対に、強く不安を感じるためにじっとしていられず、落ち着きなく体を動かすようなこともあります(焦燥感)。表面的には元気に見えてしまうので、周囲はうつ病だと気付きにくいことがあります。
8) この世から消えてしまいたいと思うようになる(自殺願望)
  生きていることがつらく、死んでしまった方がましだと考えてしまう症状です。うつ病で最も気をつけなければならない症状です。
  一般的に、気分が沈みきって何もする気力がない状態では、自殺をする気力もありません。しかし、少し症状が良くななり体を動かせるようになると、死にたいという感情が湧けばすぐに実行に移してしまおうとするのです。
  うつ病の治療の経過では、死んでしまいたいという気持ちが繰り返し患者さんの気持ちの中に湧いてきます。自殺したい気持ちが非常に強いときは、入院して経過を観察することもあります。
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発症する原因

うつ病が発症する原因

  うつ病は、患者さん本人の気持ちの問題ではなく、脳の働きが低下したために症状を引き起こす病気です。脳の機能はまだ解明されていないことが多く、あらゆる精神疾患において、発症のメカニズムも十分に分かっていません。うつ病は女性に多いといわれていますが、これは女性ホルモンの増加・妊娠・出産など、女性に特有の危険因子や男女の社会的役割の格差などが関わっているのではないかといわれています。また、平均初発年齢は20-30歳の間に高頻度にみられます。

  海外では、低学歴・低収入・貧困、無職者にうつ病が多いとされていますが、わが国の調査では社会経済要因との関連ははっきりと証明されていません。そのほか、人生のライフイベント(離婚、死別、その他の喪失体験)、トラウマになるような出来事(虐待、暴力、災害など)、社会的支援、性格傾向(神経症傾向など)がうつ病の危険因子として報告されていますし、急速な都市化が影響するという可能性も指摘されています。

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治療法

うつ病の治療法

  うつ状態では、脳が疲れ、エネルギーが著しく低下した状態になっています。まずは十分な睡眠をとり、脳や体の負担を軽減することが大切です。

  もともと、真面目で几帳面、仕事熱心で責任感の強いタイプの方がうつ病になりやすい傾向にあるため、休養をとることが簡単ではありません。しかし、脳が疲れているにもかかわらず休養を取らないでいると、さらに脳が疲弊し、症状が悪化するのは目に見えています。
  いま仕事を持っている人には、積極的に休養・休職をすすめます。どうしても仕事を休めないような場合は、仕事量や就業時間を削減して負担を軽くするよう考えます。
また、主婦の場合には他の家族に家事を分担してもらうようすすめ、まずは心身の負担を減らすことが大切です。

  並行して、薬による治療も行います。
主に抗うつ薬が中心となります。抗うつ薬は、脳の中のセロトニンやノルアドレナリンという物質のはたらきを高めて、抑うつ気分、不安や緊張、焦燥感を取り除くというような効果を現します。さまざまなタイプのお薬があるので、一人ひとりの症状にあった薬を使います。
  そして、服薬を始めてすぐに効果が現れるわけではなく、まずは1週間から3週間の期間が必要です。通常であれば治療を始めてから2カ月から半年くらいである程度よくなりますが、その後も服薬を続けることが必要です。
  治ったと思って服薬をやめてしまうと、症状が再発してしまい慢性化する恐れもあります。

  また、人によっては心理療法や精神療法も有効です。医師や心理士とよく相談し、自分にあった薬と治療法を見つけることが大切です。

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関わり方

うつ病の人との関わり方

  悩みの大きさは人それぞれです。周りから見て大したことがないような事でも、本人には人生を左右する重大事であることも少なくありません。それも脳の機能の低下がもたらす症状であり、本人の気の持ちようで治るものではないのです。不用意な説得や反論、悩み事の否定はますます本人を落ち込ませてしまいます。

  まず、周囲の人々がやるべきことは「病気の理解」であると言えます。他の怪我や病気のように目には見えない苦しみを持っているとしっかり理解しましょう。
  最近では「うつ病の人に『頑張って』と言ってはいけない」などと、漠然とした認知は少しずつ広まっていますが、具体的に周囲が心掛けるには以下のようなことになります。

  • “頑張りたくても頑張れない”うつ病患者さんにとって、励ましの言葉や、「怠けている」といった叱咤は逆効果です。励ましや叱咤を「自分が悪いのだ」と悲観的に受け止めてしまいます。
  • 日常生活において、どんなに小さいことでも考えや決断を求めることはなるべく避けましょう。「仕事を辞めるかどうか」というような、重要な決定は先のばしにさせるとよいでしょう。
    また、家事などの日常生活上の負担を減らせるように協力しましょう。
  • 気分転換だからと外出や運動を無理にすすめず、とにかくゆっくり休ませましょう。
    本人が望んでいないのに、気晴らしのために旅行に誘ったりすることは、かえって患者さん本人にとっては負担になるかもしれません。
  • 医師による多くの情報を正確に伝えるため、できる限り病医院に付き添い、受診に同席するようにしましょう。病気についての理解を深めるとともに、患者さん本人に必要なケアを医師にきいておきましょう。
  • 自己判断で薬の服用をやめると回復を遅らせてしまうため、きちんと服用できるよう配慮してあげましょう。病気を理解していない周囲の人が、「精神科の薬をそんなに長く飲んで大丈夫?」というようなことを不用意に患者さんに言ってしまうと、患者さんは不安に思って服薬をやめてしまうことがあります。

  うつ病に限らず、病気が診断されると「なぜ病気になったのか?」と、とにかく原因を追求してしまいます。きっかけは何であったとしても、うつ病の発症にはさまざまな要因が関係しており、一つに特定することはできません。まずは原因の追及よりも、患者さんの気持ちを楽にしてあげるにはどうしたらいいかを考え、本人の「治りたい・治したい」気持ちを尊重し、見守ってあげましょう。

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